DaiGoメンタリズム 誰とでも心を通わせることができる7つの法則

DaiGoメンタリズム ~誰とでも心を通わせることができる7つの法則~

DaiGoメンタリズム ~誰とでも心を通わせることができる7つの法則~

 読んでいてめまいがした。

 本書に書いてあることは一つ。
「いかに人を支配するか」
 著者は、心理学やコミュニケーリョン術を総合した「メンタリズム」というテクニックで、相手を意のままに操れると主張する。


「このメンタリズムを、ただ理解し使いこなすだけで、仕事でもプライベートでもありとあらゆる場面で、相手の心を理解し上手にコミュニケーションがとれるようになります。
 そして、ここぞというときには、相手の心を誘導し、思いのままに操ることすらできるようになるでしょう」(P.7)


 書いてあるテクニックの実用性は、この際どうでも良い。
 問題は、テクニックの前提となる思想だ。
 本書では、「相手の気持ちが分からないし、相手の行動が思い通りにならないから、操り人形にしよう」という思想が自明のものとして採用されている。
 それは、「相手の気持ちが分からないし、相手の行動が思い通りにならないから、殺してしまおう」という態度と変わらない。
 相手の人間性を否定している。
 それを「上手にコミュニケーションがとれる」とは、あまり言ってほしくない。


 コミュニケーションとは、
「自分が間違っていて、相手が訂正してくれる可能性」
「自分と相手との出会いで、生産的な化学反応が起こる可能性」
 を信じ、あえて不安を受け入れる行為だと私は考える。
 本書を読むかぎり、著者の言うメンタリズムは、コミュニケーション強化ではなく単なるコミュニケーション拒否だ。



「相手を支配したい」という欲望、
「私が他人を支配するのは良いことだ」という前提を疑わない傲慢さ、
 その二つを兼ねそなえた人が、この本の想定読者だろう。
 経験から言って、そういう人と心を通わせるのはしんどい。
 心理テクニックを学ぶ以前に、「自分の思考は絶対ではない」というシンプルな事実に気づいてほしい。



 終始そんなことを考えながら読んでいたので、嫌な読書体験だった。
 しかし、ぼくも少なからず似たような技術論を考えていたので、こうはなるまいという反面教師として記憶にとどめておこう。