仏教と資本主義

仏教と資本主義 (新潮新書)

仏教と資本主義 (新潮新書)

実に魅力的な題名である。個人的に。

内容も実に壮大。
最初はマックス・ウェーバーの紹介から始まり、プロテスタントの職業倫理の解説が延々と続く。
かと思ったら行基の紹介が始まり、そのまま日本の仏教と職業倫理の歴史が明らかにされ、日本市場の数々の僧が資本主義の精神の体現者として紹介される。
そこで突然、ドストエーフスキーとニーチェの話になり、資本主義の暗い未来が語られ、最終章では正倉院について熱く語る……

もうお腹いっぱい。
紹介される僧侶、思想家、学者、哲学者、天皇などなどの一人ひとりへの著者の愛がすごい。
登場する人物が、メジャーな人から全く知らない人まで、みんな魅力的に見える。
そして熱く語られるうちに、いつの間にかマックス・ウェーバーを軸にして、資本主義の精神が行基に宿っていたことを確信してしまう。

恐ろしい読書体験だった。

以下、本文で紹介されてた鈴木正三という私度僧の「農人日用」が面白かったので、意訳。

30代農民:
死んだ後、極楽に行くために修行しなきゃいけないと思いつつも、農業で忙しくて時間がありません。どうすれば良いですか?

鈴木正三:
バカヤロー、農業こそが仏行だ!
暇を作って修行しようとか思うんじゃねぇよ。成仏しようと思ったらなぁ、全身全霊で畑をたがやさんかい。雑草むしらんかい。
南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏、と唱えつつ全力で畑に鋤を打ち込んでりゃあ、畑は修行場になり、取れる米は煩悩を消す薬になるぜ。
安心して農業せんかい!